二次創作小説

お題SSまとめ:今日の聖戦子世代組み合わせ

ツイッター上で流したSSのまとめです。
『今日の聖戦子世代組み合わせ』の診断結果を利用させていただいています。
再録にあたり、多少推敲しています。ツイッター発表時と一部異なる場合があります。
子供たちの親に関しては、設定がまちまちです。必要に応じて注意書きを入れています。


デルムッド→リーン お題:「星が見えない夜」

君は彼を愛している。彼も君を愛している。
最初からわかっていたことだ。

ミストルティンの継承者を、その第一の騎士としてささえる。
それが俺の進むべき道。
彼は敬うに値する。王として仰ぐのに不足はない。
すべては容易い事だったはずなのに。
――そう、君さえいなければ。

寄り添いあう君と彼。
なぜ、それを受け入れることができないのか。

闇の帳はひそやかに迫り、俺を閉ざしていく。
光はあまりにも遠く、かすかでしかない。

――星が見えない夜が来た。

(2015/09/24)


デルムッドxナンナ お題:「わがままひとつ」

妹を抱擁した。
許されざるとわかっていても
止めようもなく、俺の中に満ちてくるものがある。

俺は母を覚えていない。
妹は母に似ているという。
だからなのだろうか、この思いは。

……いや、違う。
ごまかせない。ごまかしてはならない。
これは、肉親への慕わしさじゃない。

ただひとつでいい、もしわがままが通るならば
誰にも触れさせず、君をこの腕の中に留め置きたい。永遠に。

(2015/09/16)


デルムッドxナンナ お題:「敵の血」

※デルムッドとナンナの父はアゼル

誰にも気を許すことができなかった。フィンにも、リーフ様にさえも。
お兄様、あなた以外には。
私たちの中に流れる血を、きっと皆は憎んでいる。
私たちは敵の血を引く者だから。ヴェルトマーのアゼル。それが私たちの父の名。
母はなぜ父を選んだのでしょう。
かつて、母はその異母兄を愛し、父はその異母兄に逆らいました。
両親にとって『兄』は特別な存在でした。そしてきっと私にとっても。
気づいていますか。お兄様。
私たちはどこまでも孤独で、だからこそ、互いを求めざるを得ないのです。

(2015/09/12)


矜持と廉潔の後日談

※リーンの父はレヴィン

「リーン、ヨハルヴァと手合わせをしたと聞いたが」
厳しい表情でレヴィンが問いかけた。
「無茶をするな。怪我でもしたらどうする」
「大丈夫でしたよ。ヨハルヴァさん、けっこう紳士でしたし」
「紳士? あいつがか?」
「ええ。負けた後、とても潔くて」
「そうか? それならいいんだが…」
「……心配してくださったんですか、レヴィン様」
「……まあな。味方同士の間に遺恨が残るようでは困る。お前の身に何かあれば……アレスが黙ってはいないだろうしな」
アレスの名を出す前、一瞬間があいたことに、リーンは気づいていた。
(心配してくれているのよね……きっと)
レヴィンのためらいが何を意味しているのか、たぶん自分は知っている。だけど黙っていよう。彼自身が明かすまで、知らぬ顔を貫こう。
踊り子は心の中でそう呟くと、そっと寂しげな笑みをこぼした。

(2015/09/12)


リーフ VS パティ お題:「ワンツーフィニッシュ」

※パティの父はホリン

最初に出会ったとき、弱っちい王子様だと思った。
だけどリーフ様の剣技は綺麗だ。
シャナン様やラクチェとは違う。あれほどの鋭さやキレは感じない。でも、なんだろう。派手なようでいて無駄がない。バルドの血のなせる業、だろうか。
負けたくない。なぜかそう思ってしまう。
あたしだって捨てたもんじゃない。月光剣が使えるの、解放軍ではあたしだけだ。今日こそあたしが先陣を切る。そしてシャナン様に褒めてもらう。
そう思ってたのに。
味方同士で張り合ったって仕方ない。どっちが一番だっていい。敵に勝ちさえすれば。
…意外と、現実的なんだね。

(2015/09/09)


ディムナ→アルテナ お題:「エンディング」

高く澄んだ空の下、俺は初めてあなたを見た。
竜騎士に対するのは弓持つ者の仕事。だから、ひたすらその姿を追った。
味方になってもあなたは遠い。イザークの平民とトラキアの姫君に接点などありはしないから。
だけどすべてが終わったら、きっと俺は告げるだろう。いつもあなたを追っていたと。

(2015/09/07)


コープルVSパティ お題:「得手不得手」

「コープルってさ、基本、誰にでも愛想いいよね。なのになんであたしにはいつも突っかかってくるの?」
むくれっ面でパティが言う。
「僕にだって得手不得手くらいある」
「あたしは苦手なんだ?」
「うるさいな」
そう、苦手だ。だって君はいつも、僕の心を一瞬で裸にする。装う隙すら与えずに。

(2015/09/06)


アーサーとナンナ お題:「欲しいもの」

※アーサーの父はアゼル、ナンナの父はフィン

父親と一緒にいられる君が羨ましい、とあなたは言う。自分は父を知りたくて同じ職を選び、見知らぬその面影を追っていると。
でも私はあなたが羨ましい。
幼い頃から側にいるのに遠い存在だった。父が見ているのはリーフ様、そしてきっと私の母。
父は私を通して母を見ている。母に似なければよかった。

(2015/09/06)


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written by S.Kirihara
last update: 2016/05/03
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