私の好きな本
ダーコーヴァ年代記
作者:マリオン・ジマー・ブラッドリー
邦訳版元:創元推理文庫
シリーズ一覧
翻訳刊行順に並べてあります。( )内は刊行年です。
他に外伝として2作邦訳されていますが、この表には入れていません。
手持ちの本(というか作品あとがき)から得た情報で作成しています。
他にも邦訳が出ているなどの情報がありましたら、ご一報ください。
題名 |
翻訳者 |
原題 |
惑星救出計画 (1986) |
大森望 |
Planet Savers (1962) |
はるかなる地球帝国 (1986) |
阿部敏子・内田昌之 |
Star of Danger (1966) |
宿命の赤き太陽 (1986) |
浅井修 |
The Bloody Sun (1964) |
炎の神シャーラ (1987) |
赤尾秀子 |
Winds of Darkover (1970) |
ダーコーヴァ不時着 (1987) |
細美ほ子・宇井千史 |
Darkover Landfall (1972) |
惑星壊滅サービス (1987) |
中村融 |
World Wreckers (1971) |
オルドーンの剣 (1987) |
大森望 |
Sword of Aldones (1962) |
カリスタの石 (1987) |
阿部敏子 |
The Spell Sword (1972) |
ハスターの後継者 (1987) |
古沢嘉通 |
TheHeritage of Hastur (1975) |
ドライ・タウンの虜囚 (1987) |
中原尚哉 |
Shattered Chain[Part 1] (1976) |
ヘラーズの冬 (1987) |
氷川玲子・宇井千史 |
Shattered Chain[Part 2-3] (1976) |
禁断の塔 (1988) |
浅井修 |
The Forbidden Tower (1977) |
ストームクイーン (1988) |
中村融・内田昌之 |
Stormqueen! (1978) |
ホークミストレス (1988) |
氷川玲子・中原尚哉 |
Hawkmistress! (1982) |
キルガードの狼 |
|
Two to Conquer (1980) |
ダーコーヴァとは
時は21世紀。恒星間を航行する宇宙船がはじめてつくられ、人々が新天地を求め、博打に近いような宇宙移民を行っていた時代、一隻の移民船が旅の途上で航行不能に陥り、最寄りの惑星に不時着した。
4つの月と血の色をした太陽を持つその星は本来の目的地ではなかったが、移民団はふたたび宇宙に出ることなく、その星に根付いた。
星はDARKOVER―闇の彼方―と名づけられた。
地球人たちは原住民との混血を行いながら、超能力“ララン”に裏打ちされた独自の文化を築いていく。
やがて人々は自分たちが地球の子どもたちであったことを忘れ去っていった。
そして約2000年―。
地球では地球帝国が誕生し、技術の革新は恒星間の旅を日常のものに変えていた。そんな時代に、ダーコーヴァは地球帝国によって“発見”される。
地球とダーコーヴァ、起源を同じくしながら異なる道を歩んできたふたつの世界が出会うところに、物語が生まれる。
年代記のあらまし
ダーコーヴァ年代記は物語中の年代にしたがっておよそ三期に区分されている。
- 植民時代
- 地球の移民船が不時着し、ダーコーヴァに定住する。
- 百王国時代(混沌の時代)
- 超能力文化の全盛期。都市国家が林立し、領主たちが覇権を競い合った戦国時代。
戦争に超能力を用いることの恐ろしさを知った人々は、“盟約”を生み出し、コミンによる統治を受け入れるに至る。
- コミン統治時代〜地球帝国との接触〜コミンの没落
- 特殊な超能力(=ララン)を具えた七大部族(=コミン)による統治の時代。
やがて地球帝国との接触により、ダーコーヴァに変化の時代が訪れる。
ラランと“盟約”
ダーコーヴァでは、ラランと呼ばれる超能力に裏打ちされた文化が生み出されている。
ラランが何に起源するものであるか―すなわち、人間が本来もっているものであるのか、それとも異星人チエリとの混血によるものであるのかは、実は定かではない。おそらくはその両者に起因するものであるのだろう。
ダーコーヴァに降り立つことによって、超能力に開花した地球人は少なくない。どうもキレセスという花の花粉がラランの開花(あるいは意識の解放)に一役買っているようである。
《混沌の時代》にはラランを強化・特殊化するための配合が行われた。
その結果として、家系と能力の種類との間に密接な関連性が生まれる。と同時に、いくつかのラランが致死遺伝子と結びつくというマイナスの結果を生むことにもなった。
またこの時代、小国家間の戦争にラランが用いられ、破壊的な結果を招く。
ラランの恐ろしさを身をもって実感したダーコーヴァ人は、“盟約”を考案する。
“盟約”は、自分が返り討ちに会う危険のない武器を人間に対して使用することを禁じるものである。
この盟約と、自分の身は自分で守るべしという開拓者的な独立心とがあいまって、ダーコーヴァ人は独特の武士道精神を持つに至る。
のちに、ダーコーヴァ人の盟約への固執は、地球帝国との齟齬の一因となっていく。